春の初めにあたり五穀豊穣を予祝する祭典で、往昔は正月の初卯の日に行われていましたが、現在は2月6日に斎行され、篤農家の崇敬組織である豊年講の大祭が併せて執り行われます。
祭典の中で、拝殿の向拝を神田に見立て、木製の鍬、木型の牛、練り棒を使って白丁(はくちょう)姿の田作男が台詞も面白おかしく田作りの所作を演じるところに特徴があります。苗代ができ上がると水口(みなくち)神主(神職)が鍬と扇子を持って水口祭りを勤め、神前から撤下された籾種を田作男が古風な台詞回しで撒きます。ついで、早乙女(巫女2名)が松の小枝を束ねたもの(苗松)を早苗になぞらえ、太鼓に合わせて田植えを行うなど、おんだの神事はすこぶる古式を残すものです。そして田作男の面白い台詞に参拝者の笑いが起こり、その笑いが大きければ大きい程にその年は豊年であると言われます。祭典の終わりに田作男によって授与される籾種を農家の方々が大切に持ち帰り、自らの苗代に撒いて、稲を育てていくことになります。