狂言「福の神」で大神神社に参詣した太郎冠者が、三輪大明神はお山が御神体であるから「福は山」と囃して豆を撒くという場面があります。開運厄除の祭典である当社の節分祭・福寿豆撒き式では、裃(かみしも)を着けた年男・年女が拝殿より賑やかに福豆と福餅を撒きますが、「福の神」と同様に「福は山」の掛け声と共に豆を撒くことが特徴です。
立春・立夏・立秋・立冬の前日が節分ですが、特に立春前の節分には全国各地で厄祓いの行事が行なわれます。当社でもこの節分の前後に多くの人が除災招福の祈願に参拝され、豆撒き式の時には拝殿前は参拝者で埋め尽くされます。拝殿向拝・到着殿前・勅使殿前の三方に年男・年女が福枡を持って並び、宮司の「福は山」の発声に合わせて福豆と福餅が撒かれると、斎庭からは大きな歓声が上がります。撒かれる福餅の中には大黒面などの縁起物が当たる福引きの紙が入っており、境内は福を授かった方々の笑顔に満ち溢れます。また、節分に併せて開運厄除けの吉兆笹も授与されます。これは笹の枝に大黒様の面や小判の縁起物が付けられたもので、節分前後に多くの方がお受けになられます。