奈良市鎮座の境外摂社、率川(いさかわ)神社の例祭で、鎮花祭と同じく『大宝律令』で国家の祭祀として定められた疫病除けの祭典です。ご祭神の媛蹈五十鈴姫命(ひめたたらいすずひめのみこと)が三輪山麓、笹百合が咲き誇る狭井河近くにお住まいになられていた故事により、笹百合の花で罇(そん)・缶(ほとぎ)と呼ばれる酒樽を飾り神前にお供えすることが特徴で、平安時代の律令の注釈書『令義解(りょうのぎげ)』にも、三枝(笹百合)の花をもって酒罇(みか)を飾りて祭る。ゆえに三枝というと、祭典名の由来が記されています。
祭典では古式により、黒木の案に特殊神饌を入れた折櫃(おりひつ)を載せ、柏の葉で作った蓋をして神職が神前にお供えします。そして宮司が罇から黒酒、缶から白酒を柄杓に汲み取り、土器(かわらけ)に注いで、神様に献ります。巫女もまた笹百合の花を手に神楽「うま酒みわの舞」を奉奏します。三枝祭はまさに笹百合の美しさに彩られた祭典です。 午後からはご祭神の五十鈴姫命に扮した女性を中心に、七媛女・ゆり姫・稚児と花車の時代行列が街中を巡行します。七媛女の綺麗な古代衣装も見所の一つです。