径11、4センチの銅鏡で、表面には蓮弁台座に坐した聖観音の御影を毛彫してあり、背面には「湖州真石家念二叔照子」の銘が陽鋳してあります。湖州鏡はその名の如く、中国の宋代に浙江省の湖州を中心に鋳造されはじめ、わが国へは平安時代後期より鎌倉時代にわたって渡来したものです。この鏡もこの時代に属するものでしょう。聖観音の毛彫の上に径5ミリの穴が開けられており、紐で懸けて鏡を礼拝したものと思われます。