長さ25センチ、幅7センチの折本仕立、600巻。8世紀初、唐より渡来した大般若経は、当時の仏教奨励により、各地の国分寺や寺院において読誦されると共に、しだいに転読の法要が拡がり転写されました。当社においても神宮寺大神寺(おおみわでら)の社僧の勤行もあってこれらが転読されたのです。所蔵の写経は往昔、禁足地内の経蔵に蔵められていたもので、各巻末尾には、「大三輪社」の記があり、その内巻392に元永3年(1120)、巻552(補欠本)に文治6年(1190)の添書があり、平安時代中期から鎌倉時代初期にかけて書写されたものと思われます。また古くは巻子本であったのを慶安年間に折本に改めたことが判明しています。