大国主大神木像(県指定文化財)
御神像として伝世した、高さ69センチの立像です。材質は榧(カヤ)の一木造で、平安時代後期の作とされています。烏帽子を冠ぶり、右手は腰に手印を結び、左手に大きな袋を持って肩からかけています。履き物は履かず、衣は筒袖で裙(もすそ)の短い袴を付け、奈良朝文官の官服であった白丁(はくちょう)に近いものがあります。表情は忿怒相で、後代の柔和な福徳神と異なり、類例の少ないものです。
神仏習合の思想から大国主神と大黒天【摩訶迦羅天(まかからてん)】は同体とされ、当社所蔵の『三輪山縁起』にも、三輪明神が大黒天の形で影向(ようごう)したという記事があります。